「それじゃあ、また」
ひらりと手を振って開発部に戻っていった良平くんは、私の彼氏だ。
だけど社内では、お付き合いをしていることは秘密にしている。
それを提案した時、良平くんは不満そうだったけど、彼は自分がどれだけモテる存在なのかをもう少し自覚してほしい。
知られたら最後、私が女性社員に質問攻めにされるのは分かり切っているんだから。
というか今の、誰かに見られていなかったかな……。
そもそも、どうして私と良平くんがお付き合いすることになったのかといえば、企画部と開発部の接点が多いからだ。
企画した商品が売れるかを相談したりと、打ち合わせをする機会も多い。業務上で関わることの多い彼と距離が縮まったのは、必然だったのかもしれない。
それから、良平くんの方から声をかけてくれたり、仕事帰りにご飯に誘ってくれることが増えていった。彼から告白されて交際がはじまったのは、三か月ほど前のことだ。
「し~おりっ」
「祐子。……もしかして、見てた?」
「それはもう、ばっちりね。相変わらず仲がよろしいようで」
楽しそうな笑みを浮かべて声をかけてきた里中祐子は、同じ商品企画部で働いている同期だ。大学の頃からの友人で仲がいい祐子にだけは、良平くんと付き合っていることを伝えている。



