それ以来、郁と風早は恋人同士の練習を重ねた。
休日にはデートをしたし、定時後に食事へ行ったりもした。
そのうち風早を「玲音さん」と呼ぶようになり、風早からも「郁」になった。
郁にとって、幸せな日々が続いた。
なにしろ大好きな声を特別な関係で聴けるのだ。
一生で一番幸せなひとときかもしれない、とすら思った。
おまけに玲音は恋人らしいやり方にも慣れて、愛情表現も格段に上達した。
抱き寄せる、手を握る、名前を囁く……。
『囁く』は郁にとって毎回、心臓を刺激されて刺激が強かったけれど。
それに玲音の言い方は悪戯っぽかった。
郁を軽くからかうようなことも言うし、郁は毎回拗ねるのだったが、玲音は楽しんでいるようだ。
ここだけは苦笑になる郁だったが、そのうちそれすら快くなった。
ドキドキ跳ねる心臓も、彼からの特別な言葉も、郁の気持ちを少しずつ変えた。
(この時間が練習じゃなければ……いいのに)
そこまで思うようになった。まるで玲音に恋をしたかのような感情だ。
でもそんなことは言えるわけがなかった。玲音を困らせるだけだから。
(この時間を堪能できるだけでいいんだから……)
そのように自分に言い聞かせたけれど、その中の寂しさも自覚していた。
休日にはデートをしたし、定時後に食事へ行ったりもした。
そのうち風早を「玲音さん」と呼ぶようになり、風早からも「郁」になった。
郁にとって、幸せな日々が続いた。
なにしろ大好きな声を特別な関係で聴けるのだ。
一生で一番幸せなひとときかもしれない、とすら思った。
おまけに玲音は恋人らしいやり方にも慣れて、愛情表現も格段に上達した。
抱き寄せる、手を握る、名前を囁く……。
『囁く』は郁にとって毎回、心臓を刺激されて刺激が強かったけれど。
それに玲音の言い方は悪戯っぽかった。
郁を軽くからかうようなことも言うし、郁は毎回拗ねるのだったが、玲音は楽しんでいるようだ。
ここだけは苦笑になる郁だったが、そのうちそれすら快くなった。
ドキドキ跳ねる心臓も、彼からの特別な言葉も、郁の気持ちを少しずつ変えた。
(この時間が練習じゃなければ……いいのに)
そこまで思うようになった。まるで玲音に恋をしたかのような感情だ。
でもそんなことは言えるわけがなかった。玲音を困らせるだけだから。
(この時間を堪能できるだけでいいんだから……)
そのように自分に言い聞かせたけれど、その中の寂しさも自覚していた。



