その声で魅了して。~イケメン寡黙上司の裏の顔は×××でした~


「おはようございます」
「宮本さん、おはよう」

 すでに出社していた社員に挨拶をしながら、自分のデスクに着く。今日やるべきタスクを確認しつつ、PCを起動させた。いつもと変わりのないルーティンだ。

 宮本一花、二十六歳。

 医療福祉に特化した専門商社である、アクアピアホールディングスに入社して今年で四年目になる。新卒で三年間は営業部にいたけれど、この春から経営企画部に異動となった。

 営業部での仕事もかなりスムーズにこなせるようになっていたところで部署移動を言い渡されたので、正直、少しだけ落ち込んだのは事実だ。

 だけど三か月も経てば企画部の仕事にも少しずつ慣れてきて、任せてもらえる仕事も増えてきた。今では日々やりがいを感じている。

「宮本さん、頼んでいたプレゼン資料の作成って進んでる?」
「すみません、まだ市場調査の結果をまとめられていなくて……午前中には終わらせます」
「了解。急ぎじゃないし、今日中には仕上げてもらえれば大丈夫だから。何か分からないことがあれば聞いてね」

 声をかけてくれた先輩にお礼を言って、作成途中となっている資料のファイルを開く。

 ……少しずつ慣れてきたのは事実だけど、実際にはまだ分からないことも多い。

 作業を中断して過去のデータを確認したり、先輩にアドバイスをもらったりする時間が入ってくる。もう少し効率よく仕事を回せるようになることが、今の私の中での最大の課題だ。