笑顔の可愛いキミは、俺にとって高嶺の花


 俺の心に浅ましい感情が芽生える。

 彼女が傷ついているかもしれない時に、俺は自分のことを考えている。
 なんて、俺は酷いやつなんだ。
 そう思うのに頭の中は欲を満たそうと必死に訴えてくる。

「……そうか。なんていっていいかわかんねぇけど」

「…………」
「…………」

 部室に静寂が流れる。
 互いに何が正解か分からなかった。
 悪いと思ったのか、香菜は無理矢理に笑顔を作る。

「あはは!なんかごめんよー!辛気臭いね〜。別にそんなに落ち込んでないんだよ!だって、振ったのは私だしどちらかというと可哀想なのは振られた先輩のほうで!」
 
 一生懸命明るく振る舞う様子に胸が締め付けられる。
 このまま何も言わなくていいのか?
 なにもしなくていいのか?
 今なら——

 浅ましい考えがまた俺の頭を埋め尽くす。

「……香菜」
「ん?」
「駅前の神社、夏祭りやってるらしいんだ」
「え!そうなの!?」
「…………一緒に、行くか?」

 俺は何を思ったのか、彼女を夏祭りに誘っていた。