溺れるほどの愛を君に

少しだけ早いかもしれないけど、これくらいがちょうどいいかもしれないなあ……準備とかもあるし。

案内された教室にはまだ誰もいなくて、私だけの空間になっていた。

ここが……一年間勉強する場所かあ。



「ふふっ……よろしくねっ」



一言だけ、教室に向かって言ってみた。

もちろん、教室がしゃべれるわけなんてないから、私のこの声が聞こえるなんて思っていないし、ましてや喋ることなんて絶対にない。

でも、これからお世話になる場所だし、挨拶はしておきたかったんだ。

暇だし、本でも読んでいようかな……うん、そうしようっ。

そう心の中で決め込んだ、そのとき。



「あっ、鈴代さんいたっ……!」



一人だけだった教室に、少しだけ焦っているような声が響いた。

先生……なのかな? スーツを着ているし。