溺れるほどの愛を君に

「なんです、か⋯⋯っ!?」
 


名前を呼ばれて何事かと思ったら、またさっきのように楓先輩に抱きしめられた。
 
今度は後ろからじゃなく、正面から。
 
心臓の鼓動が早くなるのが、体中から感じる。
 
どうして⋯⋯こんなにドキドキしちゃうのっ⋯⋯。



「ねぇ、ひまり⋯⋯俺じゃ、だめ?」

「⋯⋯え」
 


どういう、こと⋯⋯?
 
楓先輩の表情、冗談じゃない。きっと、真剣だ。でも⋯⋯どういう意味なの⋯⋯?



「⋯⋯なーんてね。俺も帰るとするよ。あと、一応連絡先、交換しておこ」

「え、あっ、はいっ」
 


楓先輩は私の背中に回っていた手を解き、スマホを取り出した。
 
慌てて私もスマホを取り出し、楓先輩が映し出してくれたQRコードを読み込むと、画面には『楓』と書かれたプロフィール画面が映し出されていた。



「ん、登録できたね。それじゃ、俺帰るから。何かあったら連絡すること」

「は、はいっ! 気をつけて帰ってくださいね⋯⋯?」

「ありがと。じゃーね」
 


そう言って玄関を出た楓先輩。