溺れるほどの愛を君に

⋯⋯あれ、なんで私、今先輩と手をつなぐっていうことだけで恥ずかしくなっちゃったんだろう⋯⋯?



「あー⋯⋯かわいすぎ⋯⋯今日の浴衣、誰かに選んでもらったの?」

「あ、はいっ! お母さんが送ってくれたんです⋯⋯!」

「百合、か⋯⋯花言葉は確か⋯⋯純粋、無垢だったね。ひまりにぴったりだ」
 


えへへ⋯⋯純粋とか無垢っていう言葉の意味はわからないけど、私にぴったりなら嬉しいな⋯⋯。
 
さすがお母さん、きっと私に似合いそうな浴衣を選んでくれたんだろうな⋯⋯。
 
また帰省したときにお礼を言わなくちゃっ⋯⋯!



「ひまりは実家に帰ったりする?」

「はい、ちょうど来週から一週間ほど行ってきます! ⋯⋯と言っても、実家がここらへんなのでそんなに変わらないんですけどね⋯⋯。楓先輩は、ご実家に帰ったりされるんですか?」

「うーん⋯⋯帰ったところで親は仕事で忙しいと思うし、きっとマンションだな」

「そうなんですか⋯⋯いっぱいお料理作っておくので、ちゃんとご飯食べてくださいね⋯⋯?」
 


楓先輩、最近はちゃんとご飯を食べているようだったけど、前はずっとインスタント食品だったり、食事を抜いたりしていたこともあったようだから⋯⋯。
 
まだまだ高校生なんだから、ご飯はちゃんと食べてほしいな⋯⋯って、これじゃあなんだか私がお母さんみたいっ⋯⋯。



「ひまりに負担かけたくないし、無理しないで」

「無理じゃありませんよ⋯⋯! 少し作る量が増えるくらいですし、それに、その⋯⋯⋯⋯一人で食べるご飯よりも、二人で食べるご飯の方が美味しいし、楽しいですもん⋯⋯」
 


自分で言って恥ずかしくなってきたっ⋯⋯。
 
なんだか楓先輩の顔を直視することが難しくなってしまって、マンションに着くまでの間、まともに楓先輩の顔を見ることができなくなってしまった。
 
本当に私、どうしちゃったんだろう⋯⋯?