溺れるほどの愛を君に

星良ちゃん⋯⋯楓、せんぱい⋯⋯っ!



「___ねぇ、その子俺の彼女なんだけど。離してもらっていい?」
 


あれ⋯⋯もう幻聴が聞こえるようになっちゃったのかな⋯⋯上から楓先輩の声が聞こえるけど、ここにはいないはずなのに⋯⋯。



「お迎えが遅れてごめんね、お姫様」

「おっ、お姫様!?」
 


先輩、誰のことを言っているんだろう⋯⋯?

星良ちゃん⋯⋯あれ、星良ちゃんいつの間に楓先輩の後ろにいたの!?
 
さっきまで私の隣にいたと思っていた星良ちゃんは一瞬目を離した隙に楓先輩の後ろに移動していた。
 
い、移動速度が速いっ⋯⋯。



「⋯⋯なんだ、彼氏持ちかよ」

「行こーぜ⋯⋯、っ!?」

「あれ、誰が簡単に逃がすなんて言ったの? 怒ってるのがわかんないのかな?」
 


今の先輩の口調は二人きりでいるときと学校のときの口調を混ぜたような、そんな口調。
 
笑顔のはずなんだけど⋯⋯目が笑っていないから、こ、怖いっ⋯⋯。