溺れるほどの愛を君に

あのときは驚きで溢れていたけど、ちゃんと先輩が帰れたみたいで一安心だ。
 
学校の中ではそんなに話すことはないけど、たまに私から先輩に夕食のお裾分けなどをしている。
 
手料理が久しぶりって言っていたときに聞いてみたら、先輩は三食全てインスタントにすることや、抜かすこともあるらしい。
 
そんな食生活を送っていたらさすがにいつ体調を崩してもおかしくないと思って、ちょくちょくご飯のお裾分けをしているんだ。
 
まだまだ先輩は成長期なんだから、たくさん食べてもらいたい。



「⋯⋯あ、ひまり」
 


⋯⋯噂をしたら現れる、なんて漫画や小説ではあることだけど、心の中で考えるだけでも現れるのだろうか。
 
またドアの前で立ち止まっている先輩を見かけて、また鍵を失くしてしまったのかという考えが頭をよぎった。



「楓先輩! どうかされましたか⋯⋯?」

「いや、何もないよ。⋯⋯あのさ、ひまり」
 


先輩がちょっと顔を赤らめて、なんの話をするのか、全く検討がつかなかった。