溺れるほどの愛を君に

「あーつーいー!!」

「あはは⋯⋯本当に暑いねぇ⋯⋯」
 


手で仰ぎながらそう嘆いている星良ちゃんを横目で見ながら私は苦笑した。
 
もう七月後半になって、明日からは夏休み。今日は一学期の終業式だ。
 
ちょっと長めな校長先生からのお話に耐え終わって、今から家に帰るところだ。



「あ、ひまりは夏休み、実家に帰ったりするの? 今一人暮らししてるんでしょ?」

「うん! お父さんとお母さん、弟も待っているって聞いてるから、一週間くらい家族で過ごすつもりだよ!」
 


ちなみに、星良ちゃんは私がマンションで一人暮らしをしていることを知っている。
 
⋯⋯こないだの楓先輩との登校事件(と私は呼んでいる)で星良ちゃんに問い詰められて、全部白状したんだよね⋯⋯あはは⋯⋯。
 
もちろん心配はされたけど、今度星良ちゃんを招待するという謎の約束をして星良ちゃんの怒りは収まったようだ。



「そう。家族との時間を大切にしなさいね」

「うんっ。星良ちゃん、またね!」

「またね、ひまり」
 


分かれ道で星良ちゃんと別れて、マンションへ向かう。
 
そういえば⋯⋯ついこの間、こうやって帰って、家に入る直前に楓先輩を見かけたんだっけ。