溺れるほどの愛を君に

 私は髪の毛の長さが長くて、自分の腰くらいの長さがある。もしかしたら私の身長が小さいせいで思っているよりかは短いかもしれないけど。



「⋯⋯ひまりの髪の毛、サラサラだね」

「えっと、昔からお母さんが見た目とか清潔感とかに厳しくて⋯⋯社会に出ていくときの最低限のマナーとして、頑張ってきましたっ」



 私の家はお父さんが勉強、お母さんがマナーを担当して、私たち子どもは両親に徹底的に勉強やらマナーやらを叩き込まれてきた。

 その習慣のようなものはもう慣れてしまったからなのか、一人暮らしを始めた今でもずっと続けている。

 お陰様で苦労していることはほとんどないな⋯⋯。



「いいお母さんだね」

「はいっ! 自慢のお母さんです!」



 大好きなお母さんのことを褒めてもらえて、嬉しかったから反射的に楓先輩の方を振り返ってしまった。

 すると、先輩の持っているドライヤーから風の攻撃を受けてしまった。



「ふわぁ⋯⋯っ!? へんぱい! 風、つよいれふ!!」

「ははっ⋯⋯。ひまりがこっち向くからでしょ。ほら、前向いて?」

「は、はい⋯⋯」



 うぅ⋯⋯あのドライヤーの向き的に、わざと私の方に向けてたでしょ⋯⋯!

 そんな本音を隠して、仕方なくさっきの位置に戻った。