溺れるほどの愛を君に

学生という身分上、アルバイトをすることは難しいし、校則で禁じられている。

だからせめて、食生活くらいは節約したいなあって思って、毎日自炊しているんだよね。

実家でもお母さんとお父さんの帰りが遅い日には弟のひいろと一緒にご飯を作って食べていたっけ。

そんなもう懐かしく感じられてしまう日々に想いを馳せながら、私は楓先輩に尋ねた。



「いや、俺が口出しできることじゃないだろ。こっちは無理言ってひまりの家に邪魔してるわけなんだし。ひまりの都合に合わせる」



そうぶっきらぼうに告げていたけど、返事をしてくれているだけ嬉しいことだと思った。

世の中の男の子たちは大体この年齢になると反抗期になるらしいから……。

そういえば、まだひいろは反抗期来ていなかったんだっけ。

数ヶ月ほど会っていない弟の存在を思い出しながら、キッチンに立った。

楓先輩は今日、ずっと外で待っていたようだし、量もたくさん作りやすい、という安直な理由で夜ごはんはカレーに決めた。



「楓先輩、苦手な食べ物とかってありますか?」

「んー……強いて言えば、トマトとピーマン」

「あっ、私もピーマン苦手なんです……一緒ですねっ」



高校生にもなってピーマンが苦手な私は共感してくれる人が少なくて、少しだけショックを受けていた。