溺れるほどの愛を君に

私が住んでいるマンションは、防犯のために、鍵は一つしか配布されていない。

そして、そのたった一つしかない鍵をなくしてしまった先輩に、お家に入ることは難しいのだ。



「まあ、なくしただけだし、しばらくは野宿でいけそうだな」

「の、野宿っ!? 高校生が一人で野宿なんて危なすぎますよ!」

「さすがに財布はあるし、スマホも持ってるからさ」

「そういう問題じゃなくてぇっ……!」



割と本気な口調で言い始めている先輩に、もはや恐怖の感情まで芽生えてきた。

結構深刻な問題のはずなのに、なんでこんなに冷静でいられるの……!?

うーん……私になにかしてあげられることは無いかな……。

……あっ、そうだ!



「楓先輩、それなら私の家、来ますか?」

「……は?」

「だって、今日のお礼! まだ私できてないんですよ? お礼くらいさせてくださいっ」

「……ひまり、それ本気で言ってんの?」

「え?」



本気も何も……だってこうしないと、楓先輩本当に野宿しちゃいそうだから……。