雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

「あら、りょうこどうしたの?」

「レンがねぇ……みこと? って、名前の人をステージ席に連れてきてって頼まれてね。ママに言えば分かるって言われたから来たの」

「あら、もう始まる時間になったのね。美琴ちゃん。りょうこが案内してくれるから行ってらっしゃい」

 ママに言われるがまま、りょうこと呼ばれる若いギャルについて行くことに……。

「あんさぁ。みことちゃんは何歳なの?」 

 二十四歳であることを伝えると、りょうこは顔色を変えて嬉しそうに私の手を握った。

「マジ! 私のお姉ちゃんと、同い年じゃん。みこと姉ちゃんって呼んで良い」

 顔は笑顔に見えたのに、寂しそうで泣きそうな瞳をしているように見えた。

 私は咄嗟(とっさ)に良いよと返事をして、歩きながら話している間に席へ着いた。


 前列の二席以外は全て埋まっていて、空いている席に私達は座った。りょうこいわく、レンが私のために席を取ってくれていたらしい。

 しばらく座っていると、店の入り口から人が次々と入ってくる。客席の周りには、お酒を片手に持って立っている人が席の周りを囲った。