雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

 外は明るくなり始めて時刻は四時。
 雨は止んでしまった。

「美琴さん。ちょっと待っていて」椅子から立ち上がると、外にある自販機に向かったあと戻ってきた。

 レンが手に持っていたのは、二つのコーンポタージュ。テーブルに置くと、私の両手を優しく握って、微笑みながら缶を掴らせた。

「ずっと、寒かったよね……コーンポタージュ好きなんだ。一緒に飲もう、暖かいよ」

 自分より大きな手で、優しく包まれたことが嬉しくて、手だけじゃなく心も暖かかった。

「久しぶりに飲んだけど、美味しいね。飲みきった最後が大変なこと思い出したよ」


 この缶を飲みきったら、この楽しい時間が終わるんじゃないか?そう思うと寂しい気持ちになった。

 飲んでいる最中にレンは話しながら、小さい長方形の紙を取り出して、ペンで文字を書いていた。文字は見えなかったが、思いを込めるように感じた。


 立ち上がり「もう、行くよ。美琴さん……楽しかった」笑顔で言った。

 私も立ち上がると、寂しい気持ちを隠して「私も楽しかった……」

 勢いよく、強く抱きしめながら「そんな悲しい顔しないで……バレバレだよ。いつでも連絡してね」

 レンは、抱きしめたあと。笑顔で手を振って、行ってしまった。

 
 抱きしめられたことに頭がいっぱいで、連絡先を知らないことに気が付いたのは、レンが見えなくなった頃だった。

 後悔していると、ポケットの中に違和感があり取り出すと、レンが書いていた長方形の紙が入っていた。

 Until another lovely rainy night(また、素敵な雨の夜が訪れるまで)と書いてあった。

 裏には電話番号と、レンの文字があった。