雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

 カフェの扉を開けた先には、珈琲や紅茶の良い香りが漂う。

 インテリアはウッドベースで、落ち着ける暖かい雰囲気がした。天井には、明るいウッド調のシーリングファンがゆっくりと回っている。

 左側には、窓際に座席があるが、すでに他の人が座っていた為、正面にあるカウンター席はまだ空いていたので、腰を下ろした。


 メニュー表を開いてみると、コーヒーや紅茶の種類が書かれてある。

「すみません。ホットレモンティーお願いします」
「かしこまりました。蜂蜜や砂糖はお使いになりますか」
「いいえ……そのままでお願いします」

 (りん)とした華のある女性は、お湯をティーポットに注いで全体を温めた後、お湯を音をたてずに捨てた。続いて、缶からティースプーンで茶葉をすくい、慣れた手つきで分量を測りながらポットに落としていく。

 少し高い位置から熱湯を注ぎ込むと、中の茶葉がスノードームのように綺麗に舞い踊った。湯気に運ばれて、ふわっと紅茶の甘い香りに鼻腔(びくう)をくすぐられる。

 宝石(ルビー)色のように輝くスノードームに、私は魅了された。

 ポットにフタをして蒸らしている間に、彼女はティーカップにお湯を注いで温める。

 蒸らし終えてフタを開けると、ティースプーンを使って、ゆっくりとポットの中身をひと回しし、紅茶の味を均一にした。その瞬間、紅茶の豊かな香りがしっかりと届き、心がじんわりと安らいでいった。

 温まったカップのお湯を捨てて、ティートレーナーを載せると、ゆっくりと注ぎ込む。ゴールドに輝く最後の一滴まで注ぎ終えると、仕上げにみずみずしいスライスレモンを、丁寧に浮かせて完成した。