雨の降る日はジャズバーへ ――Cats that gather at night――

 料理のメニュー表を渡された。写真付きで、有り得ないほどに安いし、ジャンルも量も多い。驚きで少し大きな声が漏れる「なんでこんなに安いんですか!」

「うちは、料理とお酒で利益をとる気はないのよ。主な収入源は、ステージのチケットと見返りのない支援のみなの。でもね、あたしが魅力的なママだから、ガッポリ儲けているわよ。……ふふ、分かる人に分かるのよね。料理とお酒は一流だから安心して注文してね」


 メニュー表で悩んでいると、背後から耳元でレンがささやく。

「大好きだよ……ハンバーグ。おすすめです」

 花のような香りと耳に残るささやきのせいで、どうにかなっちゃいそうだった。これ以上ないほどに、顔が熱くなっていく……。

 店内の照明が薄暗くて、心底良かったと思った。会うのは二回目なのに、勘違いしてしまうほど、私の心はレンでいっぱいだ。

「ハ、ハンバーグ……お願いします……」

「美琴さん。もう少しで仕事終わるから、二階のカフェがオープンしたら、そっちに行くから待っていてね」言い残すと他のお客さんのカクテルを作りに行った。