最強の王子は花売り娘に恋をする

フレデリックはジュリエッタの部屋に明かりがある事を見て2階まで壁をよじ登っていった。

ベランダに降り立つとコンコンとガラスをたたいてジュリエッタが気付いてくれるのを祈った。

ジュリエッタはこんな夜更けにフレデリックが苦しそうな顔をして窓の外に立っているのを見て、何か深刻な事態が起きたのを察した。

フレデリックを部屋の中に入れるとソファーに座らせて温かい紅茶を自分で入れた。

「ジュリ、父上から親書が届いた。バタール帝国がキメラを併合してシュバイツァー王国に侵攻して来ようとしているそうだ。俺は帰らなければならない。ジュリごめんこの国で騎士団に入ってジュリと暮らせるようにするつもりだったんだ。でもシュバイツァー王国の危機を放ってはおけない。帰らなければならない」

ジュリエッタに親書を見せた。

「わかった。今準備するから少し待ってお爺様とお婆様に伝える時間はある?」

「えっ、ジュリも一緒に来てくれるの?」

「ええ、もちろんよ。国王陛下も二人で帰って来て欲しいとおっしゃっているでしょう?私もフレデイと一緒よ。もう離れ離れは嫌よ」

「でもいいの?王宮はジュリにとって辛い場所だよね?」

「そうね、でももう私前みたいに弱くないわ。紅茶を掛けられたら駆け返すし、腐ったケーキを出されたらあなたが先に食べて見せなさいと言えるわ。マリアさんがそうすればいいのよと教えてくれたの。だから大丈夫。それにフレデイと離れている方が辛いもの」

「首都まで朝一番の汽車で行く方が早いわね。それならお爺様とお婆様にお別れが言えるわ。それでいい?今夜はこの部屋で一緒に寝ましょう」

「ジュリありがとう、影が付いてきているんだ。国王に返事を出さないといけないらしい。それと僕はこのソファーで眠るよ」

そう言うとフレデリックは影に明日の朝一番の汽車で首都まで行って、その後シュバイツァー王国に向かう事を告げた。

明日中には王宮に着くとジュリエッタと二人で帰ると伝えるように言った。

影は飛ぶように馬を駆けて行った。

きっと今日中に王宮まで行くのだろう。

次の日の朝早く二人は伯爵夫妻に話をしたが詳しいことは言えなかった。国の危機なのだ。

伯爵夫妻は理解をしてくれてジュリエッタの決意を尊重してくれた。

そして気持ちよく送り出してくれた。

エドガーには手紙を書くことにして、二人はシュバイツァー王国に向けて出発した。