最強の王子は花売り娘に恋をする

マリアはハンカチをそっと差し出して、王妃が泣き止むまでじっと待っていた。

きっと王宮を出されて実家に来てからも泣く事もできなかったのだろう。

泣く事は大切だ心の中に溜まった不安や怒りや孤立感を涙で少しでも流してしまえたらすっきりするのだ。

そうすればまた前を向ける。

マリアはそう思っている。

しばらくして泣き止んだ王妃は

「ごめんなさい。マリアさんの前で恥かしいわ。王妃失格ね」

「そんなことありません。王妃様だって人間なのです。感情があるんです。それを押し込める必要はありませんよ。ここは公の場じゃないんですから」

「ありがとう、マリアさん。でも泣いて何だかすっきりしたわ。陛下がどうして信じてくださらないのかそんなに信用できない王妃ならいっそ離縁して下さればいいのよ」

「そうですよ。その意気です。国王に文句言いに行きましょう。いつも王妃様は我慢してばっかりでしょう?今回はしっかり言いたいこと言うべきです。私も隣にいますから、陛下なんかくそくらえですわ」

王妃様は目を丸くして

「マ、マリアさんくそくらえってどんな意味ですの?」

「勝手にしろとか知った事かこの野郎って意味ですわ」

「まあっ」といって王妃様は笑い転げた。

「わたくしその言葉を陛下に言ってみたいですわ。気持ちよさそう」

「ええ、ええ、さあ行きましょう。それでも許してもらえなかったら二人の王女様を連れてここに帰ってくればいいんですよ。王女様たちは毎晩“お母様”と言って泣いていらっしゃるんですよ。王女様達を王宮に置いておく事はできません。可愛そうで見ていられませんわ」

マリアと王妃に二人の王女とザイールはマリアが乗ってきた大きな馬車に乗って王宮に戻った。

マリアは子供達を侍女に預けて王妃様を連れて、国王陛下の執務室に乗り込んだ。

夫のイワンも必死で書類と格闘していた。

「失礼いたします。陛下にお話が合ってまいりました」

陛下もイワンも呆気に取られて目を見張っている。

状況が分かっていないうちに畳み掛けるのが得策だ。