最強の王子は花売り娘に恋をする

フレデリックはジュリエッタを抱きしめながら、もう二度と離すもんかと心に誓った。

「ジュリ、もう体はいいの?元気になった?まだ少しやせているよね。食事はきちんととれてる?」

「フレデイ、もうすっかり元気になったのよ。エドガーも帰って来ているの。さあ入ってエドガーにも会っていって」

「うん、エドガーにも伯爵夫妻にもきちんと謝らないとな。ジュリを守るって言ったくせに全然守れなかった。きっとエドガーは怒っているだろうなあ」

「いいのよ。私が何も言わなかったのよ。あんな事でこころを病んでしまうなんて弱虫でごめんなさい」

「何を言ってるんだ。ジュリエッタが謝る事なんて何もない。父上は王妃を実家に帰したんだ。王妃はケンデイラを次期国王にしたかったんだ。だからそうしてもらうのが一番いい」

「フレデイ、まだ時間はある?今日は泊っていける?」

「伯爵様がお許し下さるなら…明日中に首都の本店に帰ればいいんだ」

そうしてフレデリックは伯爵夫妻に心から謝罪をした。エドガーにも…

エドガーは最初はむくれていたが、フレデリックが令嬢たちはみな修道院送りになった事、問題のあった公爵家は皆伯爵に降爵し領地も半分以上没収されて、今議会では貴族制度の見直しが討議されている事を報告した。

そしてフレデリックは王位継承権を放棄し廃嫡も覚悟で王宮を去って来たと言った。

伯爵夫妻もエドガーもそれを聞いて驚いていた。

ジュリエッタはフレデリックの手紙の内容は皆に伝えていなかったのだ。

「伯爵、エドガー、僕は今この国の商会で護衛騎士として働いています。もう王子でも何でもないのです。でもどうかジュリと結婚することを許してもらえませんか?商会の仕事は家を空ける事が多いので、ジュリと結婚したら僕はこの国の騎士団に入ろうと思っています。そしてジュリには首都でまた花屋をやってもらいたいと思っているんです。ジュリはもう一度僕との結婚を考えてくれる?」

「でも、シュバイツァー王国はどうなるの?最強の王子がいなくなったらどこかから攻め込まれてしまうんじゃないの?」

「そんなこと知らないよ。ジュリを貶めていじめていた貴族たちが自分で武器を持って戦えばいいんだ。都合のいい時だけ僕の事を当てにされても僕は何もしない」

ジュリエッタもエドガーも伯爵夫妻も何も言えなかった。

祖父母やエドガーの怒りよりもジュリエッタを貶めていたシュバイツァー王国の貴族に対しての怒りはフレデリックの方が何倍も大きいのだと思い知った。