最強の王子は花売り娘に恋をする

その後王妃もマリアもフレデリックもジュリエッタに何度も手紙を書いたがやはり返事は届かなかった。

そしてある日ガレリア伯爵から王家に充てて封書が届いた。

ジュリエッタとエドガーは二人共伯爵家が引き取るという事、そしてジュリエッタはまだ伏して起き上がれないという事なのでフレデリック王子との約束はなかったものとして欲しいと言ってきたのだった。

フレデリックは国王に呼ばれてその事を知ったのだが、がっくりと首を垂れて一言も発することができなかった。

フレデリックはその日から口を利かずすべての職務と公務から退いたのだった。

フレデリックはジュリエッタが去った半年後、国王に手紙を残してデレクと共にシュバイツァー王国から去っていった。

手紙には“正式に王位継承権を放棄する。できれば廃嫡して頂きたい。この国を出て一人で身を立てて生きていくので、心配しないで欲しい。次期国王にはケンデイラを立てて欲しい。王妃様がお喜びになるでしょう”と書かれていた。

フレデリックは大きな袋に当面の服や下着、剣、短剣、手持ちの現金と宝石を少しそして誕生日にジュリエッタがくれたサシェとカフスを大事そうに別の袋に入れて胸のポケットにしまい、夜明け前に王宮の正門から出て行った。

少し行くとデレクが同じような袋を担いでフレデリックヲ待っていた。

「デレク、何しているんだ」

「何しているんだじゃないだろう。俺に黙ってどこに行くつもりなんだ」

「どこって決めてないよ」

「俺を置いてくなんて許さないよ。俺はフレデイの従者なんだからな。死ぬまで一緒だよ」

「俺はもう王子でも何でもないんだ。廃嫡してくれるように父上に手紙を残してきた。デレクは俺と一緒に苦労する事なんかないんだよ」

「苦労じゃなくて、フレデイと一緒に人生を楽しむつもりだよ。それに俺と一緒の方が良いだろう。市井の事も詳しいし世渡りはフレデイよりもうまいぜ」

「勝手にしろ」

「うん、勝手にフレデイに付いていくさ。でもどうせまずはオキシアン共和国に行くんだろ。なら辻馬車乗り場まで案内してやるから付いてきな」

2人は辻馬車で王都の汽車乗り場まで行って汽車に乗りオキシアン共和国の首都まで来た。

フレデリックはとにかく一目でもジュリエッタに会いたかった。

ガレリア伯爵家について伯爵に面会を求めても会ってはもらえなかった。

フレデリックは手紙を書いて花束と一緒にジュリエッタに渡してもらうように伯爵家の家令に頼んだ

次の日も次の日もフレデリックは手紙と花束を届けた。