最強の王子は花売り娘に恋をする

今日、ジュリエッタは王宮に来ていた。

月に一度の薬草の納品の日なのだ。

今日はお店も休みだ。王都の市場は月に2回の休みがあるのだ。

先回の休みの日にはフレデリックと前に屋台を出していた公園に行った。

公園のすぐ前に屋台を出していたのだが、中に入ったことはなかった。

植物園に小動物と遊べるところもあって、大きな池もある。

その池で二人でボートに乗った。

フレデリックはとても上手にボートを操っていた。

アーチになった橋の下を漕いで行って両側にうっそうと茂る木々があってなかなかロマンチックだった。

「フレデイってボート漕ぐのすごく上手なのね。びっくりした。まるで自分の手足みたいにオールを扱っているんだもの」

「そうか?男だったら誰でもこんなくらいできるよ」

「そんなことない。ほらあっちのボート見てさっきからくるくる回ってばかりいてちっとも進んでいないのよ」

そう言われて目をやると、初めてボートを漕いだのだろう右手の方の力が強すぎて右回りに回っている。

2人で目を合わせると一緒に噴出した。

申し訳ないが可笑し過ぎる。

あれでは二人とも目を回してしまうだろう。

フレデリックは今日の為に先日デレクを引っ張って来てボートをこぐ練習をしたのだ。

“男二人でボートに乗るって何の拷問だよ。恥ずかしいわ“とデレクはそう叫んでいた。

最初は俺も右にくるくる回ってばかりで、デレクが気持ち悪いと言っていたっけ、右手が強すぎるんだと言われて左手を強く右手を弱く加減することで真っすぐ進むようになり、しばらく練習すると自在に操れるようになったのだ。

そんな努力をしてでもジュリエッタにかっこつけたかったのだ。

「ほんとフレデイは何でもできるのね」

そう言ってジュリエッタにうっとりと見つめられて最高に気分がよかった。

“デレクありがとう“と心の中で感謝した。

その後園内のカフェでランチを取って、午後からは植物園をゆっくり回った。

異国の珍しい花が大きな温室に咲いていてジュリエッタはとても興味深そうに見ていた。

今日はエドガーも学校から早く帰って来るそうなので早めに切り上げて、ジュリエッタが夕食を作ってご馳走してくれることになっていた。

ジュリエッタ達の家に着くとエドガーはすでに帰っていて宿題をやっていた。

エドガーの宿題を見てやっている間にジュリエッタが料理を作ってくれた。

父親が亡くなってから母親が花屋をやり始めたので料理はジュリエッタが作るようになったとかで、ジュリエッタは料理がとてもうまい。

チキンに香草をまぶしてオーブンで焼いて野菜も一緒に焼き野菜にしていた。

オニオンスープも優しい味付けで体があったまった。

チキンのたれが最高で王宮のシェフとはまた違った温かい家庭料理にフレデリックは美味しい美味しいを連発して食べていた。

エドガーもジュリエッタも嬉しそうに笑っていた。

これが温かい家庭なのだとフレデリックは心底幸せだった。

王子なんてくそくらえだ。

本当に継承権を放棄して王家の籍から抜いてもらいたいと心から願った。

幸運にも弟がいるしケンデイラはまだ12歳だが優秀だと聞いている。

フレデリックはそんな夢物語のようなことを本当にできるかもと夢想していた。