最強の王子は花売り娘に恋をする

シュバイツァー王国軍の中には怪我人は一人もいなかった。

兵士は誰も一歩も動く必要がなかったのだ。

バリアーに守られて王子はじめ青騎士達が魔法で敵を打ち砕くのをただ眺めていただけだ。

フレデリックは赤騎士団に、キメラ帝国軍の最高司令官と将軍や副将軍に軍幹部の15名を人質として拘束するように命じて凱旋した。

キメラ帝国軍には怪我人が沢山いたが死人は出なかった。

しかし怪我人が多かったために、あとの軍隊は帝国に返した。

そして土の魔法で国境には岩を積み上げた高い壁が作られて、帝国側には壁の前に大きな穴が掘られて二度と侵入ができないようにされた。

その後の交渉でもシュバイツァー王国の要求がすべて認められて、2国間の間で講和条約が締結された。

それによってキメラ帝国は今後10年間どこの国へも侵攻できる軍事力と資金を持てないであろうと思われる賠償金をシュバイツァー王国に支払う事となった。

国民の生活を支えるのに精いっぱいのお金しか残されないだろうという事だ。

後の事は外交を担う大臣が大活躍したのだろうが、フレデリックには預かり知らぬことだった。

周辺諸国からもキメラ帝国の突然の侵略行為に対して批判がもたらされた。

キメラ帝国はこの3年ほど農作物の不作で、食料のほとんどを近隣諸国からの輸入に頼っていたのだ。

特にシュバイツァー王国からの輸入が60%を占めていた。

シュバイツァー王国はなだらかな丘陵が多く農作物や果物などを多く栽培しているため、自給率は100%で余剰の作物をキメラ帝国や東隣のオキシアン共和国に輸出していた。

キメラ帝国は鉄鉱山や宝石が出る鉱山があったがその鉱山も枯渇してきていた。

そこで今回の侵略となったのだ。

国を挙げての挙兵で後のない最後の手段だったのだろう。

だがキメラ帝国は第一王子のフレデリックの情報を全くとれていなかったのだ。

その後のキメラ帝国の衰退は坂道を転がる様なものだった。