最強の王子は花売り娘に恋をする

フレデリックはそんな二人を見えなくなるまで見送っていた。

すると誰かが横に立った。

「そう言う事か、この頃誰かさんが妙に優しくなって一人笑いしていたりしていたのが気になっていたんだが、腑に落ちたよ。フレデイにも春が来たってことだな」

デレクがフレデリックの肩に手を置いて、“よかったなあ”と言ってバシバシ叩いてきた。

「痛いよ。そんなんじゃないよ。ちょっと仲良くなっただけだよ。言いふらすなよ。デレクは口が軽いからな」

「じゃあ帰り道ゆっくり聞かせてもらおうか、花売り娘の可愛いジュリちゃんの話をね…酒でも飲みながらさっ」

そしてフレデリックはデレクにすべて聞かれるままに応えるしかなかった。

酒代まで奢らされた。

口止め料とか言いながらがぶがぶ飲んでいた。

一番知られたくないやつに知られてしまってフレデリックはついてないと肩を落とすのだった。

だが、その3週間後フレデリックは悩んでいた。

この頃毎週のように王都の花売りの屋台に出かけているのだが、もう2週続けて花屋の屋台はいつもの公園の前には出ていなかった。

どこか場所を変えたのだろうかと思って、屋台が出ている所をあちこち回ってみたが二人の花売りの屋台は何処にもなかった。

思い余って同じ場所で屋台を出している串焼き肉の店主に聞いてみたが、

「急に来なくなっちまって俺らも心配しているんだ」

「なあ、なぜだかあんたは知っているか?」

と焼き菓子などを売っている40代くらいの女性に聞いてくれた。

「私もよく知らないけれど、前に王都の中央市場で母親が花屋をやっていると言っていたんだけど。3週間前くらいにその中央市場で火事があって何人か死人も出たくらいの大きな火事だっただろう。それでお母さんの花屋も火事で被害が出たんじゃないのかね。よくわからないけれども…」

そうだそう言えばジュリエッタが母親が王都の中央市場で花屋の店を出していると言っていた。

来なくなった時期も合う。

母親の花屋が被害を受けた可能性もある。

フレデリックは2人に礼を言うと大急ぎで王宮に帰ってデレクに中央市場の火事の被害の状況を知りたいと相談した。