最強の王子は花売り娘に恋をする

それでフレデリックは他の客の相手をすることにした。

客はアロマの瓶とサシェを見て“これってどういう風に使うの?“と訊いてきた。

「このアロマの瓶は部屋や玄関に置いて香りを楽しんでもらってサシェは服のぽけっとや枕もとに置いておくと言いそうです。このラベンダーは安眠効果があるそうですよ」

フレデリックはさっきジュリエッタが他の客に説明していたのを聞いていたのでそう言うと、ジュリエッタがフレデリックを見てびっくりしたような顔をした。

フレデリックはにっこり笑って空いた方の手でOKというように親指と人差し指で丸を作って少し顔を傾げて見せた。

ジュリエッタは“うんうん“と頭を縦に振って笑った。

フレデリックはその笑顔にまた胸を撃ち抜かれた。

ジュリエッタが3個の花束を作り終える間に、フレデリックはアロマを3個サシェを5個売っていた。

ガーベラの花が欲しいと言った人にも3本を紙にくるっと巻いて渡した。

ジュリエッタは、感心して

「絶対フレデイの方がエドガーより、頼りになって助かるわ」

そう言って大笑いした。

その太陽のような笑顔を見てフレデリックの心臓はまたどきんと跳ねた。

「エドガーにそれをいっちゃだめだよ。きっとおおむくれするよ」

「きっとそうね。しばらく口をきいてくれないかも」

今度は2人で大笑いした。

フレデリックは久しぶりに心から雑念なく笑った。

それがすごく気持ちよかった。

「ジュリ売り上げを付けてるよね。今の内に付けてしまいなよ。さっきジュリが花束を3個作っている間にポプリの瓶が3個とサシェが5個売れたからね。それにガーベラの白が3本うれた。金額も合わせておいた方がいいよ」

「すごいわ。ポプリはもう完売だしサシェはあと2個だけだわ。生花も朝は全然だったけれどお昼からは結構うれたの。帳簿だけ付けちゃうわね」

「うんその方がいいよ。サシェは2個僕が買っていっていい?双子の妹がいるんだ。きっと喜ぶよ」

「それではそのサシェはお手伝いして頂いたお礼に差し上げます」

「ジュリ、そんなことしていたらエドガーに叱られるよ。それにもうお金はその分缶に入れてあるよ。僕は串焼肉を買ってくるよ後で一緒に食べよう」

「それなら串焼き肉はお手伝いしてくれたお礼に…」

奢ると言いかけると“いいよっ“というとフレデリックは串焼きの屋台に行ってしまった。

フレデリックはジュリエッタと自分の分とお土産にエドガーの分もたくさん買ってきた。

2人で花売りの屋台のすぐ近くにあるベンチに座って串焼き肉をたべた。

売上金も売れた数も合ったとジュリエッタが報告してくれた。

フレデリックは自分も手伝ったので合わなければ困ったなあと思っていたので安心した。

そう言うとジュリエッタが

「フレデイが間違える訳ないわよ」

と言ってまたコロコロ笑った。

2人で串焼き肉を食べていると、帰りの手伝いにエドガーがやってきた。

“ずる~い“と言って拗ねそうになったが、“エドガーの分もあるよ“と言って袋に3本入った串焼き肉を差し出すと大喜びして1本はあっという間に食べてしまった。

後は家で母さんにも食べさせてやりたいと言って持って帰ることにしたようだ。

2人は手押し車を片付けて、夕闇の中を帰っていった。