最強の王子は花売り娘に恋をする

デレクはフレデリックの執務室で書類仕事をやっていた。

フレデリックの代わりにできる所だけ執務をやってくれていて、どうしてもフレデリックのサインが必要なものは分けてあった。

執務室に入ると

「あっ、怠け王子。何処に行っていたんだよ。こんなに書類がたまってるんだぜ。俺ができるところはやって置いたけど後のはフレデイのサインがいるやつだし目を通しておくべきものだからな」

「わかった。ありがとう。はいこれ明日誕生日だろう。明日は休みだし後はちゃんとやっておくからもう帰れ」

「うへえ~、どうしたんだ。長く一緒に居るけど誕生日プレゼントなんて初めてもらった。いったいどうしたんだ。明日は大嵐になるんじゃないか?」

「何だよ。酒も買ってきたのに…要らないんだな」

「いるいる。でも花もあるのか?それかっこいい花束だな。何処で買ってきたんだ」

「どこでもいいだろう。花束と酒をもって早く帰れ」

そう言うと、デレクの背中を押して執務室から追い出した。

デレクはぽかんとした顔をして、いましがたのフレデリックのちょっと赤くなった顔を思い浮かべた。

おかしい。フレデリックがデレクに誕生日プレゼントなんて…

二人はデレクが8歳の時からの付き合いなのでもう10年以上になる2歳下のフレデリックの従者になるべく剣も学園の勉強も魔法も鍛えられた。

デレクが10歳の時フレデリック王子が学園に入学してきてデレクがいつもそばに仕える従者見習いになったのだ。

その2年前からデレクは王城によく連れて行かれてフレデリックの友人として交流があった。

シュバイツァー王国では平民が通う王立学校と王族や貴族や一部裕福な平民が通う王立スメール学園がある。

どちらも8歳から15歳迄の8年間通うのだが、貴族や王族などはその後2年間の専科に通うのが普通なのだ。

専科は騎士科、魔法科、官僚科、プロトコールマナー科がある。

フレデリックとデレクは2人とも騎士科に進んだ。

フレデリックはデレクより2歳下だったが、デレクと同じ学年になると言って飛び級をするために毎日勉強を頑張っていた。

そして14歳の時には一緒のクラスになっていた。

驚くべき頭脳だ。

王立スメール学園の飛び級はそんなに容易いものではない。

留年者や途中退学者が多いことでも有名だ。

しっかり授業についていかないと学年末考査でふるい落とされる。

だから専科に進んだのも一緒だった。

フレデリックが丁度15歳で専科を卒業して騎士団に入って3年後にキメラ帝国が侵攻してきたのだ。

騎士科でも剣技も魔法の強さも有名だったので、すでに遠巻きにされる存在だった。

だからデレクがいつも側に居て気楽に接して、二人の時はフレデイと愛称で呼ぶととても嬉しそうに笑うのだった。