最強の王子は花売り娘に恋をする

フレデリックは、義母に花束を贈って自分の部屋に戻り、今日の花売り娘の事を考えていた。

麦わら帽子をかぶり白いエプロンをした彼女は花を大事そうに扱って綺麗な花束にしていった。

予め作った花束も沢山あったが、今頃は全部売り切れているだろう。

大きな目をくりくり動かしておおらかに笑う彼女の顔が頭から離れない。

小さな女の子にほとんどただのような小さな花束を作ってあげていた。

優しい笑顔で弟を気にかけて二人で仲良く花を売っていた。

とても明るく美人で素敵な花売り娘だった。

彼女の顔を思い出すだけで胸の奥にぽっと明かりがついたように温かくでも不確かな思いが揺れるのだった。

フレデリックはその感情にまだ恋と言う名前を付けられないでいた。

今までそんな風に女性の事を考えた事なんかなかったのだ。

社交も苦手だった。

最強の王子と言ってみんな遠巻きにフレデリックを見ているだけだった。

だからどうしても出なければいけない時しか夜会やパーテイには出ない。

出ても顔を見せるとすぐに帰ってしまう。

だから余計に女性には遠巻きにされていた。

それはあまりにも第一王子が美しく近寄りがたい存在だったからなのだが、フレデリックは恐れられているのだと思っている。

でも今日はいつもより穏やかな気持ちで眠りにつくことができるだろうと思いながら、家族の夕食の席に向かうのだった。