最強の王子は花売り娘に恋をする

フレデリック王子は今日も一人王宮の一番高い塔に上り、王都の街並みを見つめていた。

塔の一番上に行くのに螺旋階段を上りドアを開けるとぐるっと塔を一周するベランダがある。

人一人がゆったり歩けるくらいの幅しかないが、ここを一周すると王都の全域が見渡せる。

王宮は小高い丘の上にあり、その一番高い塔のてっぺんから見渡す王都の風景がフレデリックは好きだ。

煙突から煙が出ているのも見える。王宮から蜘蛛の巣状に続く道に沿って貴族街や王都の中央市場や専門店が店を連ねる1番街から5番街迄そしてその奥には庶民の家や林が見える。

北には大きな森が高い山に続き南は海に東西はなだらかな丘陵地帯だ。

2年前に西側に隣接するキメラ帝国が挙兵してこの国シュバイツァー王国に攻め込んできた。

18歳で騎士団に所属していたフレデリックは父国王に命じられて軍の最高司令官として一番先頭に立ってキメラ帝国軍に対治した。

フレデリックは火、風、水、土の全属性の魔法と強力なバリアーを張る事もできる。

魔力量は膨大で自国内では最強の王子として恐れられている。

シュバイツァー王国では魔法が使えるのは貴族の中でも10%くらいに過ぎない。

それも攻撃魔法が使えるものは少ない。

後は生活魔法が少し使えるくらいだ。

火をつける、コップに水を出す、風で髪や洗濯ものを乾かすなどなど。

攻撃魔法が使えるものはほとんど王国騎士団に入団する。

今回のキメラとの戦争もキメラ帝国軍はシュバイツァー王国軍の3倍の軍隊を率いていた。

フレデリックは自国軍全体にバリアーを張った。

キメラ帝国は若干18歳の王子が最高司令官とはと、王国軍には人材がいないのだと馬鹿にしていたようだ。

フレデリック王子は、青騎士軍つまり魔法が使える王宮の警備や王族の警護をする騎士団を自分の後ろに布陣した。

キメラ帝国は弓を放っても大砲を打っても何をしても、シュバイツァー王国軍には当たらない。

途中で弓は何かに当たって空中で失速し大砲も見えない壁に阻まれてしまっている。

そこで初めてバリアーが張られているのに気付いたようだ。

しかし、こんなに広範囲にまた大砲が当たってもびくともしない強いバリアーが張れる魔法を使える人間がいるのかと驚いている。

キメラ帝国軍にも魔法を使える騎士はいるが、バリアーを破れるほどの強い魔力を持った者はいないようだ。

キメラ帝国軍は皆浮足立っている。

フレデリックは自分の後陣に配置した青騎士団と力を合わせて、水魔法で氷の槍を降らせ、風魔法で人を吹き飛ばし、火魔法で火柱を立てて馬を驚かせて騎馬隊を全滅させ、土魔法で大きな落とし穴を作ってキメラの軍隊を大混乱に陥れた。

キメラ帝国軍はすぐに降参しほんの2時間ほどでシュバイツァー王国軍の勝利となった。