陽炎に揺れる夢


「朝比奈君、私決めたよ」

「朝比奈君はきっと、世界で知られる人になる。ずっと遠くへ行ってしまうと思う」

「だから、私はモデルのケイに身につけてもらえる物を作る人になるよ」

「デザイナーを目指してみる」

午後のファミレス、いつもの場所。
私たちの声は、周りのざわざわに溶けて気づかない。

必須アイテムのマスクに、分厚い前髪。

朝比奈君の眼鏡も、彼の表情を隠している。

それでも、今までとは違う。

自分の存在を覆っていたこれらのアイテムは、今の私にとっては個性であり、朝比奈君にとっては、売り出す前の変装だ。

「遠野さんの作品、絶対に世界に連れて行くから」

そう言った彼の目は真っ直ぐに未来に向けられている。

「約束ね」

「約束」