「鷲塚さんは夕闇の中に立ってた。まだ空
は真っ暗じゃなかったけど街灯に灯りが灯っ
ていたから、陽が沈んだ後だと思う。そのこ
とからなにか思い当たることない?」
いつ、どこで、大翔が瀕死の重傷を負うこ
とになるのか?いままでわからなかったけど、
鷲塚さんに出会ったことで有力な手掛かりが
掴めた。これで運命を変えられるかもしれな
い。大翔を守れるかも。そんな期待にじわっ
と胸が熱くなった。
遠くを眺めつつ、大翔はゆっくり首を縦に
振った。
「思い当たることは、ある。実は父さんの
アシスタントという体で鷲塚さんと『狐の嫁
入り行列』を観に行くことになってる。写真
部の活動で彼女と行動を共にすることはあっ
ても、夜一緒に出掛けることはないから……」
「それだ!狐の嫁入り行列を観に行った時
になにかが起こるんだ!」
視えた未来の断片が、くっきりと形になる。
黄色い線の向こうに出来た人だかり、茜色と
群青色が交わっている地平線の色。それらが
狐の嫁入り行列という祭りの風景と繋がって、
鳥肌が立つ。祭りの賑わいが一転して恐怖に
変わるような、なにかが起こるのだ。
「でもいったい、なにが起こるんだろう?
もしかして祭りの人だかりに車が突っ込むの
かな?そういう事故に巻き込まれる可能性も、
あるよね?」
推理というにはあまりにもお粗末な想像を
巡らせ、口にする。大翔は首を捻り、どうか
な、と呟いた。
「可能性はゼロじゃないけど、祭りの会場
付近は通行止めになるからたぶんないと思う」
「じゃあ爆弾テロが起こるのかも。ああい
う人混みって狙われやすいから」
「その可能性もゼロじゃないけど、さすが
にそこまで物騒な国じゃないと思う。でかい
祭りだから、それなりに警備員も配置される
だろうし」
ことごとく推理を否定してくる大翔に、わ
たしは口を尖らせる。けれど数秒後、カメラ
についた血から不吉なことに思い至ったわた
しは、はっと両手で口を塞いだ。
は真っ暗じゃなかったけど街灯に灯りが灯っ
ていたから、陽が沈んだ後だと思う。そのこ
とからなにか思い当たることない?」
いつ、どこで、大翔が瀕死の重傷を負うこ
とになるのか?いままでわからなかったけど、
鷲塚さんに出会ったことで有力な手掛かりが
掴めた。これで運命を変えられるかもしれな
い。大翔を守れるかも。そんな期待にじわっ
と胸が熱くなった。
遠くを眺めつつ、大翔はゆっくり首を縦に
振った。
「思い当たることは、ある。実は父さんの
アシスタントという体で鷲塚さんと『狐の嫁
入り行列』を観に行くことになってる。写真
部の活動で彼女と行動を共にすることはあっ
ても、夜一緒に出掛けることはないから……」
「それだ!狐の嫁入り行列を観に行った時
になにかが起こるんだ!」
視えた未来の断片が、くっきりと形になる。
黄色い線の向こうに出来た人だかり、茜色と
群青色が交わっている地平線の色。それらが
狐の嫁入り行列という祭りの風景と繋がって、
鳥肌が立つ。祭りの賑わいが一転して恐怖に
変わるような、なにかが起こるのだ。
「でもいったい、なにが起こるんだろう?
もしかして祭りの人だかりに車が突っ込むの
かな?そういう事故に巻き込まれる可能性も、
あるよね?」
推理というにはあまりにもお粗末な想像を
巡らせ、口にする。大翔は首を捻り、どうか
な、と呟いた。
「可能性はゼロじゃないけど、祭りの会場
付近は通行止めになるからたぶんないと思う」
「じゃあ爆弾テロが起こるのかも。ああい
う人混みって狙われやすいから」
「その可能性もゼロじゃないけど、さすが
にそこまで物騒な国じゃないと思う。でかい
祭りだから、それなりに警備員も配置される
だろうし」
ことごとく推理を否定してくる大翔に、わ
たしは口を尖らせる。けれど数秒後、カメラ
についた血から不吉なことに思い至ったわた
しは、はっと両手で口を塞いだ。



