「基本的に、救命救急士を含む隊員三人で
チームを作り、救急車一台を運用しています。
傷病者が一刻を争う状態の時は病院に着くま
で医師の指示のもと、適切な処置を行いなが
ら搬送します」
関係者が付き添う時に座るシートに腰かけ
て鷲塚さんと話を聞く。鷲塚さんはメモを取
りながら救急要請が必要かどうかわからない
時の対応や、搬送先の病院が決まるまでにか
かる時間など、積極的に質問をしていた。
わたしは救急車を呼ぶ際に住所がわからな
い場合はどうしたらいいか?と、前から疑問
に思っていたことを質問した。男性は、
「近くに建っている建物や交差点の名前が
有効な情報になりますよ」
と、やさしく教えてくれ、見学会はそこで
終了した。
「貴重な機会をいただき、ありがとうござ
いました」
二人で頭を下げると、男性に促されて鷲塚
さんが先に救急車から降りる。わたしもいそ
いそと後に続く。けれど思ったより幅が狭い
ステップにバランスを崩し、地面に足をつい
た瞬間、ふらっとよろけてしまった。
「大丈夫?」
すかさず鷲塚さんが手を差し伸べてくれる。
「ありがとう」と無意識にその手を握った
わたしの頭は、フリーズした。パッと目の前
の光景が変わる。いまは真昼間のはずなのに、
辺りが夕闇に包まれて視界が暗くなる。
――能力が発動した。
頭のどこかで冷静にそう思ったわたしは目
の前に広がる光景を注視する。するとバック
ドアが開け放たれた救急車の前に立っている、
鷲塚さんの姿が目に映り込んだ。黄色い規制
線の向こうに群がる人の前に、ぽつんと突っ
立っている。その顔は顔面蒼白という表現が
相応しく、ガタガタ震えているように見える。
これはいったい、どういう状況?
どきどきと鼓動を鳴らしながら鷲塚さんを
見つめていたわたしは、彼女がなにかを手に
していることに気付き、目を凝らした。
どくん、と体中の血が逆流する。額に冷た
い汗が滲む。
鷲塚さんが震えながら握りしめていたのは、
赤いものがこびり付いた、シルバーボディー
のカメラだった。そしてカメラから垂れ下が
っている黒いネックストラップには、黄緑色
のパズル型をしたキーホルダーがぶら下がっ
ていた。
チームを作り、救急車一台を運用しています。
傷病者が一刻を争う状態の時は病院に着くま
で医師の指示のもと、適切な処置を行いなが
ら搬送します」
関係者が付き添う時に座るシートに腰かけ
て鷲塚さんと話を聞く。鷲塚さんはメモを取
りながら救急要請が必要かどうかわからない
時の対応や、搬送先の病院が決まるまでにか
かる時間など、積極的に質問をしていた。
わたしは救急車を呼ぶ際に住所がわからな
い場合はどうしたらいいか?と、前から疑問
に思っていたことを質問した。男性は、
「近くに建っている建物や交差点の名前が
有効な情報になりますよ」
と、やさしく教えてくれ、見学会はそこで
終了した。
「貴重な機会をいただき、ありがとうござ
いました」
二人で頭を下げると、男性に促されて鷲塚
さんが先に救急車から降りる。わたしもいそ
いそと後に続く。けれど思ったより幅が狭い
ステップにバランスを崩し、地面に足をつい
た瞬間、ふらっとよろけてしまった。
「大丈夫?」
すかさず鷲塚さんが手を差し伸べてくれる。
「ありがとう」と無意識にその手を握った
わたしの頭は、フリーズした。パッと目の前
の光景が変わる。いまは真昼間のはずなのに、
辺りが夕闇に包まれて視界が暗くなる。
――能力が発動した。
頭のどこかで冷静にそう思ったわたしは目
の前に広がる光景を注視する。するとバック
ドアが開け放たれた救急車の前に立っている、
鷲塚さんの姿が目に映り込んだ。黄色い規制
線の向こうに群がる人の前に、ぽつんと突っ
立っている。その顔は顔面蒼白という表現が
相応しく、ガタガタ震えているように見える。
これはいったい、どういう状況?
どきどきと鼓動を鳴らしながら鷲塚さんを
見つめていたわたしは、彼女がなにかを手に
していることに気付き、目を凝らした。
どくん、と体中の血が逆流する。額に冷た
い汗が滲む。
鷲塚さんが震えながら握りしめていたのは、
赤いものがこびり付いた、シルバーボディー
のカメラだった。そしてカメラから垂れ下が
っている黒いネックストラップには、黄緑色
のパズル型をしたキーホルダーがぶら下がっ
ていた。



