名もなき空に、青い風が吹く

 うんうん、と頷き大翔の能力を認める。

 どちらの能力も行動を起こすことで未来を
変えられるという共通点があると思うと、な
おさらわたしたちの再会に意味があるように
感じてしまう。

 「ところでさ、芦香はこの能力のこと誰か
に言った?」

 わずかに声のトーンを落として訊いてきた
大翔に、小さく首を振る。

 「言ってない。もし、わたしにそんな力が
あることを知ったら自分の未来を視て欲しい
って言われるかもしれないでしょ?でも視え
る未来はきっといいことばかりじゃないから、
運命を知ってその人が苦しむことになったら
と思うと怖くて」

 そもそも手を握るというシチュエーション
自体が少ないから、この能力を誰にも打ち明
けていないわたしは、それほど多くの未来を
視ていない。偶然手を握ったら視えちゃった、
というのがいつものパターンだ。

 「大翔は?わたし以外の誰かに言った?」

 同じ質問を返すと、大翔も首を振った。

 「俺も言ってない。カメラのレンズを通す
と過去が視えることがある、なんて言っちゃ
ったら誰も被写体になってくれなくなるから」

 「それ正解だね。カメラを通して自分の過
去を盗撮されたような気分になっちゃうもん」

 「盗撮って言うな」

 ムッとして突っ込んだ大翔にペロッと舌を
見せる。大翔といると自然に素の自分に戻っ
ていることに気付いて、心の奥がくすぐった
くなる。その感覚に思わず緩みそうになる頬
を、きゅっ、と引き締めると、わたしは話を
元に戻した。

 「さっき、わたしが視た未来を信じるって
言ってたよね?大翔は怖くないの?その……
自分が死ぬって聞いて」

 わたしが視た未来は、当たる。いままでは、
もれなく当たってしまった。だから、残酷な
未来を聞いても顔色一つ変えない大翔を見て、
胸の奥がざわついた。

 躊躇いがちに言って顔を覗き込むと、大翔
は人差し指で鼻を掻きながら小首を傾げた。