狐面の君と、神隠しの夏

―「ただいまぁー。」

「おかえり。ありがとね。

雨大丈夫だった?」

「ん。

久しぶりの狐の嫁入りだったね。」

「そうねー。」


あ、でもそっか。

この時期か。


「あ、そうだ。」

「ん?」

「昔おばあちゃんにもらったお守り思い出して。」

「あぁ、棚のどこかにあると思うけど。」


狐の嫁入りの話で思い出した。

昔、ブレスレットのようなお守りをもらったんだ。


一回壊しかけて、直してもらってからまた壊すのが怖くなってずっとしまい込んでたんだよね。


久しぶりに見たくなったなぁ。



―おばあちゃんは、数年前に…亡くなっちゃって。

おばあちゃん子だった私は、相当号泣した記憶がある。


もう、直せる人がいないっていうのもあって…。


「あ、あった。」


赤と、ほんの少しの金の糸で丁寧に編まれた…ミサンガのようなもの。


「あ、ぴったり。」



―『ほら。』

『わぁ!キレイ!』

『ここらは狐の嫁入りが多いからね。

狐さんに連れていかれないように。

あとは、もし連れて枯れても、無事に帰って来れるように。おまじない込めたからね。』

『おまじない!おばあちゃん、ありがと!』