狐面の君と、神隠しの夏

―何とか店主?さんに聞いて自分の背丈に合う大きさの着物を購入した。



…その後、彼の家に移動した。


「とりあえず何があるかわからないからここに来たけど…。

ここも安全かって言われたら微妙だ。


この部屋貸すから早く着替えろ。」

「わかった。」

「ん。



あ、前は左にしろよ。」

「え。」


左前?

それはさすがの私でも知ってる。

それは…。


「この世界ではそれが常識だ。

いいな?じゃないと…。」

「わかった!わかった、左前ね。」

「ん。

なんかあったら呼べ。」


そうして、一人部屋に残された。

…なんか…一気に気が抜けた。



どこ見回しても狐狐狐!

田舎でさえあんなに人も狐もいなかったって…。

バレたら終了の緊張感がずっと付き纏うし…。



私…なんでこんなことしてるんだろう…。


…ほんと、数時間前の自分に言いに行きたい。



―やばい…腰ひも結ぶまでは何とか着れた。

けど、帯結べない…。

帯…どうしよう。


着物なんて七五三振りだもん…無理だよ。


…。


もうヤダ。

もう帰りたいよぉ。



現代服がどれだけ楽かがわかる…。

もう、一人になって落ち着いたら…なんか急に弱気になったかも。