狐面の君と、神隠しの夏

「…わかった。

とりあえず今は俺の羽織を貸すから…。」

「!いいの!」

「これ以外方法ないだろ。」


…優しいのか優しくないのかわからない…。


「…ぶっかぶか。」

「ちょうどいい。でかいほうがバレない。

…動けるな?」

「え?」

「…いいか、走り抜けるぞ?

頭まで被れ。」


走り…抜ける?

ここを?!


「早くかぶれっ。」

「わ、わかった。」

「…離すなよ。」

「ぅん。」


離さないよっ!

離したら私終わりだしっ!



―「っちょ……は、はやっ…!」

「……遅いっ。」

「っ?!

わっ…。」


えぇ~!

そんな軽々しく持ち上げる?!

気づけば彼の腕に抱かかえられそのまま走り抜ける。


「…初めからこうすればよかった…。

…舌噛むぞ、歯食いしばっとけ。」

「んっ…。」


はやっ…。

いや、私じゃなくても人間は並走できないよ…。