伝説の『姫』。現在、地味子Aとして潜入中!

私 亜月乃空。

悪をこの手で全て無くし、滅ぼす。

その為ならば、なんだってして見せよう。

─例え、最恐学園への潜入だとしても。

数分前…

私は Eden(エデン)と呼ばれる組織に所属している1メンバーだ。

Edenとは、この国で怒る悪を壊滅・拘束し、平和をもたらす組織だ。

警察官とも仕事は似ている。

でも決定的に違うのは、Edenが"隠されし組織"。という事。

悪を滅ぼす為に様々なことをする為、公にはされていない組織なのだ。

様々な地域に存在している為、メンバーであっても本部の場所は知らない。

何故私が所属しているかと言うと、私自身の願いと、この組織の存在意義の理由が似ているからだ。

…詳しいことは、誰にも言えてないんだけれどね。

そして今日 私達はこの区域のボスに呼び出されていた。

「ボス直々の呼び出しなんて一体なんのお話でしょうね。」

そう歩きながら呟くのは、私の部下兼後輩である月島 滝 くん。

優秀な上に人懐っこくて、大型犬みたいで可愛い。
私自慢の後輩だ。

「ね〜。
…私何かやらかしちゃったのかなって凄く冷や汗が…」

「先輩がやらかしたなら、もうとっくにクビになってますよ。」

「だよねぇ〜…。」

じゃあなんだろう…と頭を捻って考えているうちにボス専用の執務室へ到着してしまった。

「じゃ、じゃあ行くよ…っ」

「はい。」

…ていうか、滝くん落ち着きすぎじゃない?

そう思いながらも、緊張気味にノックをする。

コンコン

「名前は。」

そう低く響き渡る声。

私はすぅ…と深呼吸をしてから、落ち着きを取り戻して答えた。

「亜月乃空です。」

「月島滝です。」

「入りなさい。」

「「失礼致します。」」

二人で部屋に入ると、真ん中の奥にある大きな机に座った威厳ある人の横に私の上司であるハル先輩も来ていた。

「どのようなご要件でしょうか。」

「君たちには、とある任務が課せられた。
それを遂行して貰いたい。」

「任務…とは?」

「ハル。説明してくれ。」

「かしこまりました。
…お前たちは"早乙女学園"は知っているか?」

「はい。
優秀で進学校と名高い学園です。
ですが、裏では暴走族などの集う学園とも噂されています。」

そう答えると、ハル先輩は頷いた。

「そうだ。
今までは小さい力であったし、あまり大きな悪事についての情報は流れてこなかったから後回しにされていた学園だ。
だが、先日…妙な情報が入った。」

「…妙?」

そう滝くんが呟くと、ハル先輩は続けた。

「去年から4つの暴走族となった各総長達が、SSクラス級の力を持っている。という話だ。」

「「!!」」

SSクラス…。

それはこの組織で使われる、いわゆる隠語。

SSクラスからCクラスまでが存在し、

1番下のCクラスは、勢力的には問題のないという事。
基本的に私たちが対応するのはBクラスから珍しくてもSクラス。

…でもそれが、SSクラスって事は…

「…私達Edenにも影響を及ぼす危険性がある…」

「あぁ。言えばそういう事だ。」

「…そんな力を…4つも…?」

…という、ことは…

「そこで、君にその暴走族の"壊滅"の任務が課せられたんだ。」

私の考えに同意するかのように被せられたボスの声。

…やっぱり。

…SS級の力。

正直、私の力で足りるかどうかも分からない。

「やってくれるか?
─姫よ。」

その言葉に、思わず背筋が凍る。

『姫』。

私が任務をこなすうちに知らずうちに付けられた、嫌がらせ的な呼び名。

それでも、その呼び名で呼ばれたということは…

─"必ず遂行しろ"。という意味でもある。

「承りました。
必ずや、我らEdenの脅威となりうる4つの暴走族をこの手で滅ぼしてみせましょう。」

…絶対に。

私の居場所を脅かす存在を…滅ぼしてみせる。

「─私も、その任務を担当しても宜しいでしょうか。」

え?

滝くん…?

「…何故だ。」

「私自身も、その組織の力を放っておく訳には行きません。
伝説の姫、と呼ばれた亜月さんでも、遂行できないと判断された場合、その4つの暴走族はここに居る誰にも壊滅不可能ということになります。
私が亜月さんの力となり、壊滅の手助けをしたいと考えております。」

滝くん…。

「…覚悟はできているのか。
下手すれば、命すら…」

「覚悟の上です。」

「滝…。」

余りの即答にハル先輩もボスも、もちろん私も思わず驚いてしまう。

…でも、

滝くんは、こういう人だもんね。

「私からも、お願い致します。」

「先輩…。」

「彼に、危険は犯させません。」

「…2人とも、この組織の重要な戦力。
─無茶はするなよ。」

「「はい。」」

バタン

「…ふぅ…。」

「…先輩、ありがとうございました。」

「え?」

「さっきの…任務の参加の事。」

「あぁ!別にいいよ。
それよりも、滝くんがいてくれて…凄く心強いっ!
むしろ、こちらこそありがとうっ!」

「…はい。」



どうして耳が赤いんだろ…緊張で熱くなっちゃったのかな?

滝くんの体調も心配だけど…、

…よし。

絶対、この手で…。


──暴走族を、壊滅させてみせる。