雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

「お姉ちゃんのモノは、全部私のモノ。流星さんも、このアジトも、全部私がもらうわ……!」
寝室で、薬で朦朧とする流星くんの胸に指を這わせ、勝利を確信していた真李愛。
だがその瞬間、
バガァァァァァン!!!!!
と頑丈なドアが粉々に爆破され、鉄の匂いとともに三人の死神が舞い降りた。
「……おい、ゴミ。誰の許可得てそこに座ってんだ?」
トップバッターの蓮くんが、見たこともない底冷えする笑顔で愛用の武器を真李愛の喉元に突きつける。
「ひっ……!? な、なによあんたたち! 邪魔しないで!」
「醜いネズミが、我が主領に随分な真似をしてくれましたね」
律先輩がメガネを冷酷に光らせ、手にした注射器を真李愛に見せつける。
「あなたが流星に飲ませた薬の成分はすべて解析済みです。これはその『中和剤』。そして……あなたが二度と悪巧みをできないよう、あなたの全財産と戸籍を裏社会の闇に『完全抹消』する手続きも今、完了しました」
「な、なんですって……っ!?」
顔面蒼白になる真李愛の髪を、碧先輩が一切の容赦なく掴み上げ、ベッドから引きずり下ろした。
「美李愛を二度も泣かせた罪、その安い命一つじゃ到底足りない。お前をこの街から、いや、この世から消してやる」
「嫌ぁぁぁぁ! 離して、離してよ!!」
絶叫する真李愛は、碧先輩と蓮くんによって、二度と日光を拝めない最果ての地下監獄へと引きずられていき、文字通り完璧に「自滅(物理)」させられるのだった。



「流星くん……っ! 流星くん!!」
真李愛が排除されたベッドへ、私は泣きながら駆け寄り、虚ろな目の流星くんを抱きしめた。
律先輩が迅速に中和剤を流星くんの腕に注射する。
「……っ、う、あぁぁぁっ!!」
流星くんが激しく頭を振り、その漆黒の瞳に、徐々に鋭い「本物の鬼の光」が戻ってきた。
「……美、李愛……? お前、なんで泣いて……」
「流星くん……! 私が分かる……っ?」
「当たり前だろ……、俺の命より大事な妻を、忘れるわけねぇ……!」
中和剤が効き、すべての記憶と理性を完全に取り戻した流星くん。
自分が真李愛の罠に嵌まり、美李愛に自虐をさせてしまった事実を理解した瞬間、彼の独占欲と怒りが限界突破した。
「クソ……ッ!  あいつ!!!! 美李愛を傷つけやがって……! 碧、蓮! あいつをまだ殺すな、俺が直々に肉片に変えてやる!!」
「流星、落ち着きなさい。彼女の処分はすでに終わっています。それより……今は美李愛さんのケアが最優先では?」
律先輩がクスッと意味深に微笑み、三人の騎士たちは「あとは夫婦でごゆっくり〜」とスマートに部屋を後にし、鍵を外からガチャンと閉めた(密室完成!)。