「じ、陣痛だとォ!? 律! 車だ! いや、救急車か!? クソ、スマホが、手が震えてロックが解除できねぇ……っ!!」
さっきまで裏社会の若きカリスマとしてドッシリ構えていた流星くんが、一瞬で見たこともないほど大パニックに陥った。携帯を持つ手がガタガタと震え、顔面は真っ白。
「流星、落ち着きなさい! 車はすでに地下に回してあります。美李愛さんは僕が抱きかかえて……」
「触んな!! 美李愛は俺が抱く!!」
流星くんは律先輩を押しのけると、私を壊れ物を扱うようにお姫様抱っこして、猛ダッシュで地下駐車場へと向かった。
車内でも、流星くんは私の手をこれ以上ないほど強く握り締め、大粒の涙をボロボロと流し始めた。
「美李愛……! 痛いよな、辛いよな……! 代わってやれなくてごめん……っ! もしお前に何かあったら、俺、生きていけねぇ……っ!」
「ふふ、流星くん、泣かないで……。私、頑張るから……っ」
産婦人科の分娩室に入ってから、さらに数時間。
流星くんが「美李愛! 頑張れ! 俺の手、何なら引きちぎってもいいから!」と絶叫し、私の汗を何度も拭ってくれた。
そして、凍てつく冬の夜が明ける一歩手前――大聖堂の鐘の音のような、高らかで元気な産声が響き渡った。
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
「……生まれましたね! 女の子です!」
助産師さんに抱き上げられたのは、色白で、生まれた瞬間から二重まぶたがくっきりとした、驚くほど整った顔立ちの赤ちゃん。
「流星くん……、柚ちゃん……だよ……」
「美李愛……っ、ありがとな……っ、本当に、ありがとな……!!」
流星くんは私の額に何度も何度も涙混じりのキスを落とし、生まれたばかりの我が子を、逞しい腕でそっと、本当に愛おしそうに抱きしめたのだった。
さっきまで裏社会の若きカリスマとしてドッシリ構えていた流星くんが、一瞬で見たこともないほど大パニックに陥った。携帯を持つ手がガタガタと震え、顔面は真っ白。
「流星、落ち着きなさい! 車はすでに地下に回してあります。美李愛さんは僕が抱きかかえて……」
「触んな!! 美李愛は俺が抱く!!」
流星くんは律先輩を押しのけると、私を壊れ物を扱うようにお姫様抱っこして、猛ダッシュで地下駐車場へと向かった。
車内でも、流星くんは私の手をこれ以上ないほど強く握り締め、大粒の涙をボロボロと流し始めた。
「美李愛……! 痛いよな、辛いよな……! 代わってやれなくてごめん……っ! もしお前に何かあったら、俺、生きていけねぇ……っ!」
「ふふ、流星くん、泣かないで……。私、頑張るから……っ」
産婦人科の分娩室に入ってから、さらに数時間。
流星くんが「美李愛! 頑張れ! 俺の手、何なら引きちぎってもいいから!」と絶叫し、私の汗を何度も拭ってくれた。
そして、凍てつく冬の夜が明ける一歩手前――大聖堂の鐘の音のような、高らかで元気な産声が響き渡った。
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
「……生まれましたね! 女の子です!」
助産師さんに抱き上げられたのは、色白で、生まれた瞬間から二重まぶたがくっきりとした、驚くほど整った顔立ちの赤ちゃん。
「流星くん……、柚ちゃん……だよ……」
「美李愛……っ、ありがとな……っ、本当に、ありがとな……!!」
流星くんは私の額に何度も何度も涙混じりのキスを落とし、生まれたばかりの我が子を、逞しい腕でそっと、本当に愛おしそうに抱きしめたのだった。



