雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

「美李愛さん、定期検診の結果が出ましたよ」
アジトの医療用ルームで、律先輩がエコーのデータをパソコンの画面に映し出した。
そこには、妊娠5ヶ月を迎えて元気に手足を動かす、小さなお腹の赤ちゃんの姿があった。
「先生(律先輩)! 性別、どっちか分かりましたか!?」
蓮くんが身を乗り出して画面を覗き込み、碧先輩も「流星が毎日そわそわして仕事に集中してない。早く教えてやってくれ」と苦笑いしている。
律先輩はメガネの奥の目を優しく細めると、流星くんと私を見て微笑んだ。
「おめでとうございます。流星の願い通り……『女の子』ですね。とても健康的な美人さんになりそうですね!」
「やった……っ! 女の子だ……!」
流星くんは嬉しさのあまり、私の肩をガシッと抱き寄せ、その綺麗な瞳からまた大粒の涙をこぼした。
「美李愛、女の子だってよ……! 桜の妹だ……! ああクソ、また世界一可愛いお姫様が増えちまう。俺、今から他の男に言い寄られないか心配で眠れねぇわ」
「あはは! 流星先輩、気が早すぎるって! でも最高じゃん! 楓と椿のイケメン兄貴2人に守られる、桜ちゃんと妹ちゃん……って、マジで最強のロイヤルファミリーじゃん!」
蓮くんが大はしゃぎで、リビングから「ママー! パパが泣いてるじょー!」と、2歳半になった三つ子たちを連れてきた。
「ママー! 楓が、新しい妹ちゃんも守ってあげる!」
「椿も……、ママと妹ちゃん、だいしゅき……」
楓くんと椿くんが私の膨らんできたお腹に優しくタッチし、パパっ子の桜ちゃんは「パパ、泣かないで? 桜がギューってちてあげる!」と流星くんの首にしがみつく。
「おぅ、みんな……。俺たちの新しい宝物、全員で最高に幸せにしてやろうな」
流星くんは桜ちゃんを抱っこし、楓と椿を片腕で引き寄せ、そして私の唇に優しく、だけど深い愛を込めたキスを落とした。
かつて日陰で泣いていた私の人生は、流星くんという最高の旦那様に出会い、今や4人の最強の騎士たち、そして楓・椿・桜、これから生まれてくる新しいお姫様という、世界一甘くて、世界一愛に満ち溢れた「ひだまりの家族」へと、どこまでも大きく広がっていくのだった――。