雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

「ただいま、美李愛! 体調はどうだ!?」
夕方、アジトのドアを激しく開けて帰ってきた流星くんに、私はリビングでエコー写真をそっと差し出した。
「流星くん、これ……」
「あ? なんだこれ……って、え? 赤ちゃ……!?  美李愛、お前、妊娠……っ!?」
流星くんのいつも鋭い目が、これまでにないほど点になっている。
「うん。今、妊娠4ヶ月なんだって。……それでね、流星くん。驚かないでね。私のお腹の中にね、3人も赤ちゃんがいるの。三つ子ちゃんなんだって……!」
その瞬間、あの誰もが恐れる「最強の鬼」である流星くんの大きな身体が、ガタガタと震え出した。
そして、彼の綺麗な瞳から、大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちたのだ。
「流星くん……っ!?」
「っ……嬉しすぎて、涙が止まんねぇ……。俺と、お前の子供が……3人も……っ」
流星くんは私を壊れ物を扱うようにそっと、だけど心の底から愛おしそうに抱きしめ、私のお腹に優しく自分のおでこを擦り付けた。
「美李愛、ありがとな。命がけで、お前も、3人の宝物も、俺が絶対に守り抜く」
そこへ、異変を察知した蓮くん、碧先輩、律先輩が飛び込んできた。
「流星!?  何泣いて……って、えええええ!?  美李愛ちゃん妊娠!?  しかも三つ子!?」と蓮くんが絶叫し、
律先輩が「素晴らしい……! すぐに最高級のベビー用品と、24時間体制の医療チームを手配します」とメガネを光らせ、
碧先輩が「流星、美李愛に1ミリも家事をさせるな。これからは俺たちも総出でサポートする」と静かに闘志を燃やしていた。