雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

流星くんと結ばれたあの甘い初夜から、数ヶ月が経ったある日のこと。
「うっ……、げほっ……」
朝起きた瞬間、猛烈な吐き気が私を襲った。
ここ最近、大好きだった律先輩のご飯も全然喉を通らないし、ずっと体がだるくて、熱っぽい。
(もしかして……。でも、もし勘違いだったら流星くんをがっかりさせちゃうよね……)
毎日「美李愛、体調悪いのか?」「どこが痛いんだ、病院連れて行くぞ」と過保護に心配してくれる流星くんには「ちょっと風邪気味なだけ」と嘘をつき、私は流星くんが仕事でいない隙を突いて、一人で秘密で大きな産婦人科へと向かった。
冷たい待合室で心臓をバクバクさせながら待ち、ようやく呼ばれた診察室。
エコーの機械をお腹に当てた医師が、画面を見つめたまま「おや……?」と目を見開いた。
「先生……あの、私、病気ですか……?」
不安で消えそうな声で尋ねる私に、医師は信じられないような優しい笑顔を向けた。
「おめでとうございます、妊娠4ヶ月ですね。……それから、驚かないで聞いてください。なんと、三つ子ちゃんです」
「え……み、三つ子……っ!?」
画面に映し出されたのは、小さくて愛おしい、3つの命の光。
頭が真っ白になると同時に、愛する流星くんとの愛の証が、しかも3人も私の身体に宿ってくれたんだと思うと、ぽろぽろと涙が溢れて止まらなかった。