雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

春の光が優しく降り注ぐ、5月。
私は無事に高校を卒業し、ついに流星くんと籍を入れ、本当の夫婦になった。
そして今日、律先輩がプロデュースしてくれた、街で一番大きくて格式高い大聖堂で、私たちの結婚式が執り行われていた。
「美李愛、本当に綺麗だ。流星には勿体ないくらいだな」
控室に迎えに来てくれた碧先輩が、純白のドレスに身を包んだ私を見て、いつもは冷徹な目を優しく細めた。
「美李愛ちゃん、マジで天使!  ほら、流星先輩が教会の中で緊張しすぎて顔が引き攣ってるよ!」
蓮くんがカメラを構えながら笑う。
重厚な扉が開き、バージンロードの先を見つめる。
そこに立っていたのは、最高級の白のタキシードを纏った、息をのむほど格好いい流星くんだった。
いつもはワイルドな黒髪が綺麗にセットされ、私を見つめる瞳には、狂おしいほどの愛と、どこか緊張した熱が宿っている。
一歩、一歩、彼のもとへと歩みを進める。
真李愛の影として泣いていた過去。颯太くんに裏切られて大雨の中にいた私。
あの絶望の夜に、私を見つけて、前髪をかき上げてくれた流星くん。彼の温かい手が、いま私の手を取り、しっかりと引き寄せた。
「美李愛……。世界で一番、綺麗だ」
誓いの言葉が響き、流星くんがゆっくりと私のベールを持ち上げる。
触れ合うだけの優しいキス。だけど、その瞬間に、参列した裏社会の重鎮たちや、蓮くんたちの盛大な拍手が響き渡った。
「一生、お前を愛し抜く。俺の命が果てるまで、お前を世界一幸せな妻にしてやる」
薬指に煌めくペアリング。
私たちは、世界中の誰よりも甘く、強い絆で結ばれたのだ。