雨の日に傘をくれたのは、誰もが恐れる最強の鬼でした。

「はい……っ! 私、流星くんのお嫁さんになります……っ!」
溢れ出す嬉し涙を止められないまま、私は何度も大きく頷いた。
流星先輩は愛おしそうに目を細めると、私の震える左手の薬指に、きらきらと輝くダイヤの指輪をそっと嵌めてくれた。
サイズは驚くほどぴったりで、まるで最初から私のために作られたかのようだった。
「これで、お前は一生俺のもんだ」
そう囁いた流星先輩の大きな手が私の後頭部を包み込み、引き寄せられる。
誰もいない屋上、春の柔らかな風の中で、私たちは深く、熱いキスを交わした。
18歳の流星先輩から放たれる圧倒的な男らしさと、私を壊れ物のように大切に抱きしめてくれる腕の逞しさに、胸の奥がキュンと甘く疼く。
「あーあ、やっぱり流星には勝てないかー!」
「……フッ。分かってはいましたが、いざ目の前で見せつけられると、少し嫉妬しますね」
「流星、美李愛を泣かせたら……分かっているな?」
パチパチと拍手をしながら階段の影から現れたのは、やっぱりこの三人――蓮くん、律先輩、碧先輩だった。
「お前ら、覗き見してんじゃねぇよ!」
流星先輩が真っ赤になって怒鳴ると、蓮くんが「えー! 美李愛ちゃんのウエディングドレス姿、俺が一番にエスコートしたかったのに!」と笑いながら私の頭を撫でようとする。
すかさず流星先輩が私の腰をグイッと引き寄せ、蓮くんの手をバシッと叩いた。
「触んじゃねぇ。美李愛は高校を卒業したら、すぐに俺の妻になる。誰の一瞥も許さねぇよ」
「まぁまぁ、流星。結婚式の準備は僕が完璧にセッティングしておきますから、安心してください」
律先輩がメガネをキラリと光らせて微笑み、碧先輩も「美李愛、流星が何か不手際をしたらすぐに俺に言え。いつでも味方になってやる」と、冷徹な目の中に優しい光を宿して言ってくれた。

大好きな三人の騎士(ナイト)に見守られながら、私は世界一幸せな婚約者になったのだった。