ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。


 腕をぐっと引っ張られ、為す術もなく体勢が前に崩れる。
 その拍子に、吹き出していた湯水が暴れ、着衣のままの私の全身へ容赦なくぶつかった。

「……ちょっと、ハル……!?」

 抗議の声も、肌にぴたりと張り付いた服も、気にする素振りを見せないまま。
 ハルは私の腰を、強く引き寄せる。

 そして、水滴の滴る唇を重ねられた。

 息ができないほど深くなっていく。
 彼は私から奪い取ったシャワーヘッドを、乱暴な音を立てて壁のフックに掛けた。

 頭上から降り注ぐ激しい水音が、狭い空間に反響して耳を打つ。

 浴室のものなのか、私たちが発するものなのか、どんどん白く曇っていく空気の中、しがみつくように腕を回す。
 濡れた短い髪へ指を潜り込ませ、そっと撫で続けた。