ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。


 手櫛を通しながら乾かし終えると、何のスタイリング剤もついていない、素のサラサラとした髪に戻った。

 温風を止める。
 ハルはそっと私の手から本体を抜き取り、元の場所へと片付けに行った。
 やれやれ、と小さく息を吐いて再び横になる。

 戻ってきた彼は、身を寄せるようにして潜り込んできた。

 そして。


「それで。聞きたいこととか、ある?」

 何かを期待している瞳で、そんなことを言い出した。


「……ないっ。おやすみ」

 そっけなく言い放ち、寝返りを打って背中を向けた。
 しかし、すぐに背後から抱き込まれる。

「でも、拗ねてんじゃん」

「拗ねてないってば」

「意地張るなって」

 首筋に顔を埋めてくる。

「……っ」

 柔らかい毛先が素肌に触れて、くすぐったい。


「なあ。妬いた?」


 調子に乗って、ストレートに問いかけてくる。