ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。

 ◇

 扉が閉まる音と共に、外の世界から遮断される。

 部屋に入るなり、壁に押し付けるようにして、甘く香る首筋へ顔を埋めた。

「…………っ……」

「さっきの奴とは、飯だけ?」

「…………え……?」

「触らせてない?」

 肌に唇を這わせながら、低い声で問い詰める。

「うん……何もないよ……」

 掠れる声を聞き届け、そのままベッドへと押し倒した。

 柔らかなシーツに沈み込む身体を、逃がさないように上から覆う。
 熱を帯びた肌に、何度もキスを落としていく。

 潤んだ瞳、熱い吐息、わずかに歪む眉。
 その表情のすべてを見逃さないように、決して視線を外さない。

 全部、俺のマナだから。