ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。

 ◇

「それはそうと……結婚の話よ! マナのウェディングドレス姿、見たかったのにー」

 唇を尖らせながら、ミズキがジョッキを傾ける。

「ごめーん……」

 急な話だったし、大勢の前で愛を誓うのは、どうにも気恥ずかしかった。
 それでも父が「バージンロードは歩きたい」と言うので、両家の家族だけで、都内の小さな教会で式を挙げたのだ。

「マナ、彼氏できても全然続かなかったのに。まさかいきなり結婚だなんて。しかも相手が『年下の元彼』とは」

 可笑しそうに肩を揺らされる。

「…………」

 本当に、突然のことだ。
 それなのに、戻ってみたら、ハルの隣はあまりにも居心地がよくて。
 よくあんなふうに別れを受け入れられたなと、自分でも思うくらいに。

「実は引きずってたんじゃないのー?」

「……うるさいなあっ」

 誤魔化すように、冷えたビールをごくごくと流し込んだ。