◇
落ち着いて運転するハルに、時折話しかけながら過ごしていた。
高校を卒業してすぐに免許を取ったハルが、初めて助手席に乗せてくれたときは、前のめりで眉間に皺を寄せ『話しかけんな』と怒っていた。
それが今では、いつもの軽口を叩き合えるほどの余裕を持ち合わせている。
ふと、カーラジオから『恋に落ちた瞬間』というリスナーのエピソードと共に、甘いラブソングが流れてくる。
「ねえ。私を好きになった瞬間って、いつなの?」
「え?」
トンネルに入り、オレンジ色のナトリウムランプが車内を等間隔に流れていく。
ハルはしばらく黙って考えたあと、口を開いた。
「雷にはしゃいでるの見たときかな」
ハンドルを握りながら、フッと思い出し笑いしている。
それは、二回目に遊んだ日のこと。
傘を持っていなかった私たちは、通り雨を避けるようにビルの上層階にあるカフェへ駆け込んだ。
窓際の席で、私は厚い雲の隙間に走る稲妻を夢中で眺めていた。
ふと、隣から手が伸びたと思ったら、私の頬にあるほくろに、冷たい人差し指がそっと触れた。
『濡れてる』
低い声とともに、彼が少し背伸びして付けた香水のような、澄んだ香りが漂ってきた。
射抜くような視線に、思わず戸惑ってしまったのを覚えている。
落ち着いて運転するハルに、時折話しかけながら過ごしていた。
高校を卒業してすぐに免許を取ったハルが、初めて助手席に乗せてくれたときは、前のめりで眉間に皺を寄せ『話しかけんな』と怒っていた。
それが今では、いつもの軽口を叩き合えるほどの余裕を持ち合わせている。
ふと、カーラジオから『恋に落ちた瞬間』というリスナーのエピソードと共に、甘いラブソングが流れてくる。
「ねえ。私を好きになった瞬間って、いつなの?」
「え?」
トンネルに入り、オレンジ色のナトリウムランプが車内を等間隔に流れていく。
ハルはしばらく黙って考えたあと、口を開いた。
「雷にはしゃいでるの見たときかな」
ハンドルを握りながら、フッと思い出し笑いしている。
それは、二回目に遊んだ日のこと。
傘を持っていなかった私たちは、通り雨を避けるようにビルの上層階にあるカフェへ駆け込んだ。
窓際の席で、私は厚い雲の隙間に走る稲妻を夢中で眺めていた。
ふと、隣から手が伸びたと思ったら、私の頬にあるほくろに、冷たい人差し指がそっと触れた。
『濡れてる』
低い声とともに、彼が少し背伸びして付けた香水のような、澄んだ香りが漂ってきた。
射抜くような視線に、思わず戸惑ってしまったのを覚えている。



