卒業まで、好きでした。

春。

校庭の桜は新しい一年を迎え、校舎には新入生たちの笑い声が響いていた。

私も二年生になった。

教室は変わり、後輩もできた。

でも、一つだけ変わらないことがあった。

先輩は三年生になった。

高校生活で先輩と過ごせる最後の一年。

そう思うだけで、一日一日が大切に感じられた。

四月のある日。

部活動紹介が行われていた。

いろいろな部活がある中、私の足は自然とボランティア部の前で止まった。

理由は一つ。

敷戸先輩がいるから。

それだけじゃない。

福祉科に入学してから、人の役に立てる活動をもっとしてみたいと思うようになっていた。

「入部します。」

そう伝えると、顧問の先生が笑顔で迎えてくれた。

「よろしくね。」

こうして私は、ボランティア部の一員になった。

部室へ行くと、先輩たちが準備をしていた。

「滝尾さん。」

先に気づいたのは敷戸先輩だった。

「ボランティア部に入ったんだ。」

「はい。」

「よろしくね。」

その笑顔を見て、入部してよかったと思った。

ある土曜日。

ボランティア部は学校近くの「いこいの広場」の清掃活動に参加することになった。

軍手をはめ、トングとごみ袋を持って歩き始める。

道端には空き缶やお菓子の袋、たばこの吸い殻が落ちていた。

「意外と多いね。」

先輩が小さくつぶやく。

「そうですね。」

二人でごみを拾いながら歩く。

沈黙が続いても、不思議と気まずくはなかった。

「滝尾さん。」

「はい。」

「ボランティア部、どう?」

「楽しいです。」

そう答えると、先輩は少し笑った。

「それならよかった。」

その一言だけで嬉しかった。

活動が終わる頃には、ごみ袋が何袋もいっぱいになっていた。

「お疲れさま。」

先輩はそう言って、私にもスポーツドリンクを一本渡してくれた。

「ありがとうございます。」

「今日は暑かったからね。」

何気ない優しさ。

それは土曜講座で出会った頃から何も変わらなかった。

帰り道、私は少し前を歩く先輩の背中を見つめていた。

届きそうで届かない距離。

近くにいるのに、遠い存在。

それでも同じ部活で活動できる時間が、私には何より幸せだった。

私はまだ、この恋を諦められずにいた。

そして、この一年の終わりに、もう一度だけ想いを伝えることになるなんて、このときの私はまだ知らなかった。