第二章 本の感想
借りた本を読み終えたのは、それから三日後だった。
最後のページを閉じても、物語の余韻が胸に残っている。
美紗樹は、ふと本に挟まれていた四つ葉のしおりを手に取った。
『この本を読んだ人が、今日少しだけ笑えますように。』
その一言が嬉しくて、何か返事を書きたくなった。
机の引き出しから、小さな便箋を取り出す。
何度も書き直して、ようやく言葉を綴った。
『おすすめしてくださって、ありがとうございました。
最後の場面で、思わず泣いてしまいました。
主人公が「大切な人には、ちゃんと想いを伝えよう」と決めたところが一番好きです。
川﨑先輩は、どの場面が好きですか?』
便箋を折りたたみ、四つ葉のしおりと一緒に本へ挟む。
返事がもらえるなんて思っていない。
ただ、「読んだよ」と伝えたかった。
翌日の昼休み。
美紗樹は少し緊張しながら図書室へ向かった。
「返却に来ました。」
カウンターには、蒼がいた。
「読み終わった?」
「はい。すごく面白かったです。」
蒼は笑顔で本を受け取り、貸出カードを確認する。
そのとき、美紗樹は小さな声で言った。
「あの……。」
「うん?」
「本の中に、お手紙を入れてあります。」
蒼は少し驚いたように目を丸くした。
「手紙?」
「感想を書いただけなので……時間があるときに読んでください。」
照れくさくなって、美紗樹は軽く頭を下げると図書室を後にした。
蒼は返却された本をそっと開く。
四つ葉のしおりと、小さな便箋。
一文字ずつ丁寧に書かれた感想を読み終えると、自然と笑みがこぼれた。
「……返事、書こうかな。」
静かな図書室で、小さな恋が、まだ誰にも気づかれないまま動き始めていた。
借りた本を読み終えたのは、それから三日後だった。
最後のページを閉じても、物語の余韻が胸に残っている。
美紗樹は、ふと本に挟まれていた四つ葉のしおりを手に取った。
『この本を読んだ人が、今日少しだけ笑えますように。』
その一言が嬉しくて、何か返事を書きたくなった。
机の引き出しから、小さな便箋を取り出す。
何度も書き直して、ようやく言葉を綴った。
『おすすめしてくださって、ありがとうございました。
最後の場面で、思わず泣いてしまいました。
主人公が「大切な人には、ちゃんと想いを伝えよう」と決めたところが一番好きです。
川﨑先輩は、どの場面が好きですか?』
便箋を折りたたみ、四つ葉のしおりと一緒に本へ挟む。
返事がもらえるなんて思っていない。
ただ、「読んだよ」と伝えたかった。
翌日の昼休み。
美紗樹は少し緊張しながら図書室へ向かった。
「返却に来ました。」
カウンターには、蒼がいた。
「読み終わった?」
「はい。すごく面白かったです。」
蒼は笑顔で本を受け取り、貸出カードを確認する。
そのとき、美紗樹は小さな声で言った。
「あの……。」
「うん?」
「本の中に、お手紙を入れてあります。」
蒼は少し驚いたように目を丸くした。
「手紙?」
「感想を書いただけなので……時間があるときに読んでください。」
照れくさくなって、美紗樹は軽く頭を下げると図書室を後にした。
蒼は返却された本をそっと開く。
四つ葉のしおりと、小さな便箋。
一文字ずつ丁寧に書かれた感想を読み終えると、自然と笑みがこぼれた。
「……返事、書こうかな。」
静かな図書室で、小さな恋が、まだ誰にも気づかれないまま動き始めていた。

